経営者保証ガイドライン
■ はじめに:経営者保証とは何か
中小企業が金融機関から融資を受ける際、多くの場合「代表者個人の連帯保証」が求められます。いわゆる「経営者保証」です。
しかしこの仕組みは、会社が資金繰りに行き詰まったとき、経営者本人の個人資産(自宅・貯金など)まで失うリスクを伴います。
その結果
「経営者が再挑戦できない」
「事業承継が進まない」
「家族にも負担が及ぶ」
といった深刻な問題を生んできました。
■ 経営者保証ガイドラインの目的
こうした状況を是正するため、全国銀行協会と日本商工会議所が中心となり、2014年に策定されたのが「経営者保証に関するガイドライン」です。
このガイドラインは法律ではありませんが、金融機関が融資・再生・承継の場面で尊重すべき“自主ルール”として運用されています。
目的は明確です。
「中小企業の挑戦と再起を妨げない金融慣行をつくること」
■ 保証を外すための3つの条件(3要件)
ガイドラインでは、経営者保証を求めない、あるいは見直すための基準として次の3条件が定められています。
1. 法人と個人の分離
経営者個人と会社の資産・資金を明確に分ける。
2. 法人の返済能力
会社単体で返済できる体制・収益力を確保する。
3.財務情報の開示
金融機関に対し、適時・正確な経営情報を開示している。
この3つを満たせば、保証なし融資の検討対象となる可能性があります。また、既存の保証契約についても見直しや解除の余地が生まれます。
■ 倒産・再生時にも活用できる制度
経営が行き詰まった際も、ガイドラインに基づく「保証債務整理」という仕組みがあります。これは、会社と経営者の債務を一体的に整理する再生スキームで、破産手続を経ずに経営者が再起できる可能性を広げます。
活用すると、以下のような効果が期待できます。
・経営者が自己破産を回避できる可能性
・生活費や住居などの一定資産を保全
・信用情報機関への事故情報登録なし(再起が容易)
・誠実な対応により残債免除の可能性
つまり、「会社は倒産しても、経営者は倒産しない」という道が開かれます。
■ 事業承継・M&Aにも関係する
ガイドラインは、事業承継やM&Aの場面でも重要です。
旧経営者と新経営者(後継者)の双方に保証を求める「二重保証」は、原則として禁止されています。
また、承継時に既存の保証契約を見直す仕組みも整っており、後継者が不必要な個人リスクを負わずに事業を引き継げるようになっています。これは、後継者不足や承継断念を防ぐうえで極めて重要なルールです。
■ 注意点と活用のポイント
ガイドラインは法的拘束力がないため、最終判断は金融機関が行います。適用を受けるには、会社の財務内容と経営姿勢の「誠実さ」が前提です。複数の金融機関が関与する場合、合意形成や調整が必要になります。そのため、実際の活用には専門的な知見と交渉力が欠かせません。
■ シードアドバイザリーの支援スタンス
私たち株式会社シードアドバイザリーは、建設業を中心に「再生」「M&A」「承継支援」を通じて、多くの経営者の再起をサポートしてきました。
経営者保証ガイドラインの適用は、単に免除を狙うものではなく、「経営者と企業が共に生き残る再生設計」として位置づけています。
保証リスクの見直し、債務整理の戦略設計、承継交渉などすべての局面で、「再出発できる経営者」を増やすことが私たちの使命です。
■ 最後に
経営者保証は「当たり前」ではありません。そして、破産も「必然」ではありません。
経営者の人生を守りながら、企業の価値をつなぐ方法があります。その第一歩が、経営者保証ガイドラインを知ることです。
弁護士と連携し、最適なスキームを設計いたします。早期相談こそ、実行可能性を高める最大の鍵です。