建設業界に特化したM&A専門サイトを運営している建設ビレッジです。
今までの記事では中小企業でもM&Aを行うことができる、というお話をしてまいりました。これからの時代、人手不足や様々な要因で会社経営を継続することが困難な企業が増えていくことが予想されます。その企業が培った技術やノウハウを無くしてしまうのは日本には大きな損失です。企業の大小に関わらず、一度ご相談を頂きたいと我々は考えています。
また、相談を躊躇される経営者の方々の理由として、「収支が赤字、または債務超過だから」というお話を耳にすることができます。赤字なので買い手が見つかることはない、と考えられている方が多くいらっしゃるのです。
しかし、本当に多額の赤字や債務を抱えている企業に買い手は見つからないのでしょうか?
本日は、会社の経営状況が赤字や債務超過でもM&Aを行うことができるのか、ということについてお話をしていきます。
建設業界をはじめとして中小企業のM&Aなどを行なっている株式会社シードコンサルティングの代表取締役である岡田聡にインタビューを行いました。
シードコンサルティングは建設M&Aのサイトから頂いた相談や依頼といった実務を担っている会社です。ご興味がある方はこのサイトから、もしくは最後に紹介するシードコンサルティングのホームページからご連絡を頂けますと幸いです。
赤字だとM&Aはできないのか?
結論から言うと、赤字や債務超過であってもM&Aで買い手となる企業を見つけることはできます。その企業にしかない技術やノウハウを他者が潜在的に求めている可能性があるからです。
ですが、何の改善も行わない会社を買収しても赤字をそのまま背負うことになってしまいますので、そのままの状態では買い手がつくことはあまりありません。
まずは、どうして赤字なのか、どうして債務超過なのか、その原因を把握した上で改善を行う必要があります。
まずは、経営状況が悪化している原因を突き止める。
赤字や債務超過と言っても、それが一過性のものなのか、はたして慢性的なものなのか、事情は様々です。一過性の赤字で言えば、何らかの事情、例えば取引先が倒産して売掛金を回収できずに資金がショートして赤字になってしまうこともあるかと思います。
しかし、普通に会社を経営していれば利益が出る、その一過性の赤字を補填すれば回復できるのであれば改善をしなくとも買い手が見つかるかもしれません。
構造として利益の出るサイクルを作り出すことができておらず、慢性的に赤字になっている会社は、そのままの状態で買い手を見つけるのは困難ですから改善する必要があります。
利益率が悪く、やればやるほど赤字になってしまう会社は抜本的に経営方法を変える必要があるのです。そうでないと買っても赤字が増えるだけになってしまい、買い手側にメリットを持たせることができません。
経営者が変われば経営を立て直せる、と言う判断がなされる場合もある。
慢性的に赤字を出す会社の改善方法として、経営者が変われば解決する、という判断が下されることもあります。経営者が変われば、経営状況を改善することができる、ということです。
個人経営となりますと、どうしても経営者が放漫経営をしていて多額の接待交際費を使用するなど経緯の無駄遣いが経営を圧迫していることもあります。経営者が変わることで経費が下がり、数字を見直せば改善できる。そうなると買い手がつくケースもあります。
赤字や債務超過だからその会社が売れない、ということは必ずしもあるわけではなく、原因を突き詰めると見立てを立てることができるのです。
中には、経営状況が芳しくない企業を立て直すのが上手な会社もあります。赤字の会社とM&Aを行なって自社の社員を入れて、経営状況を改善して売り上げを増やすという手法でのM&Aをやっている会社もあるのです。
資金が回収できなくてショートした時、まずはどうやって対応するべき?
一過性の赤字の場合、銀行だけでなく、政府系金融機関からの借入をすることができる制度があります。それか、過去の内部留保から捻出したり、社長の個人資産を会社に入れたり、通常ではそのように対応するのが一般的です。
しかし、慢性的な債務超過の場合、金融機関からの借入を断られることも予想されます。私のところに相談に見える方はそのケースの方が多いのですが、大体は「どこか借入をしてくれる企業はないか」、という話です。そういう場合は残された時間がありませんので、緊急で何らかのアクションを起こす必要があります。
とにかく、赤字になった原因は何か。そこをしっかりと見るのが最初のプロセスです。次に、それが回収できる金額なのか、そうではないのか、判断する必要があります。その次はその会社の事業について考える必要があります。
赤字でもその会社に価値があるかどうかが大切。
今の経営状況が悪くても、未来は何とか収支が出せそうな事業性があると判断されることもあります。その場合、過去の負債を買い手が一旦綺麗にして、5年計画でその数字を回収する、という買い手もいます。その会社に価値があることで企業の債務ごと引き受ける会社もあるのです。
その際、買い手側の思惑としては、「資格保有者が欲しい」「大手の取引口座が欲しい」「その企業が保有している特殊な技術力や特許が欲しい」など、といった理由が挙げられます。
その会社に何らかの価値があれば、買いたいと企業が名乗り出る場合があるのです。現在の数字だけを見るのではなく、その会社が培ってきたことに価値があれば、その価値だけでも売れることがあるのです。
中には、その価値がある部分の事業だけを譲渡することで会社全体の経営を立て直すやり方もあります。
買い手側にメリットを持たせるために債務を消す方法がないか探す。
赤字がある会社を買うということは、買い手が借金を背負うということです。借金は少なければ少ないほどいいので、よりメリットを持たせるために債務を消す方法、少しでも債務を減らす方法がないか、考える必要があります。
中には専門のコンサルタントや弁護士を雇い、銀行側に交渉することで債務をカットするケースもあります。銀行側はかなり嫌がるのであまりオススメはしませんが、それでも会社にスポンサーが付くことで経営状況を維持できるのであれば、債務の全額が戻ってこないより、一部カットしても戻ってくる方を選択して銀行側が泣き寝入りすることもあります。
これは複雑なプロセスが必要となるので緊急性のある企業では有効的とは言えません。しかし、そのままでは売れないが、会社を整理したり別のスキームに変えたりすれば売れるケースもあるのです。これはM&Aの専門家の力量であるとも言えるでしょう。
最後にもう一度言いますが、赤字や債務超過であっても、その企業に買い手がつく可能性は大いにあり得ます。
改善すればするほど、その可能性は上がっていくのです。改善するために多くの方法がありますので、諦めることなく、知識の豊富なアドバイザーに相談していただきたいです。
また、シードシードコンサルティングは建設M&Aのサイトから頂いた相談などの実務を担っています。こちらから、またはこのサイトから連絡をいただけますと対応いたしますので、ぜひ、M&Aでお悩みの方はご連絡をいただけると幸いです。