スピードと柔軟性で再出発を実現 ― 危機から生まれた新たな挑戦
1. 会社の背景と課題
地方の施工管理会社は、先代からの債務超過を承継していました。
資金繰りは悪化し、公租公課の滞納により差押え目前という状況。
さらに仕掛工事や協力会社への未払金が残り、経営者は「事業が残っても、自宅と生活を失うのではないか」という強い不安を抱えていました。
2. 譲受側の狙い
一方で、譲受側となったのは地域拡大を目指す総合建設会社。
中期計画で新分野参入を掲げており、即戦力を持つ施工管理チームを承継することは合理的な戦略でした。
ゼロから組織を立ち上げるよりも、既存チームを迎えることでスピード感ある成長を実現できると判断しました。
3. 成約までのプロセス
当社は依頼を受けて即日対応。経営者との面談を行い、翌日には譲受候補とのトップ面談を設定。
収益構造の把握と資産整理を同時並行で進め、「事業譲渡+破産」というスキームを選択しました。
コンプライアンスとスピードを両立させ、わずか2週間でクロージングに至りました。
4. 成果
仕掛工事・協力会社への未払はすべて譲受側が引継ぎ、経営者の自宅は買い取ったうえで賃貸する形(リースバック)で居住を継続。従業員は雇用を維持し、一人ひとりに支援金を支給。譲受側は地域拡大と新分野進出を同時に達成。
経営者にとって最大の懸念だった「生活基盤」と「取引先・協力会社への責任」を守り抜くことができました。
5. 後日談
譲渡した経営者には、新会社内でポジションが用意されました。従業員も全員が合流し、これまでの協力会社や取引先との関係を継続、「生活を守る」と同時に「事業と信頼関係を守る」再出発となりました。
現在では新会社は地域拠点として着実に受注を拡大し、旧来の顧客基盤に新たなプロジェクトを積み重ねています。経営者自身も安心を取り戻し、再び現場に関わりながら技術と人材の承継に取り組んでいます。
6. 本事例からの学び
M&Aは単なる「最後の手段」ではありません。雇用・生活・信頼を守りながら、経営者・従業員・協力会社・取引先が新しい挑戦へと進むための「再出発のきっかけ」となります。