RESTRUCTURING M&A
赤字・債務超過の建設会社でも、M&Aで事業と雇用を残せます
赤字が続いている、帳簿上は債務超過になっている、返済のリスケが続いている。この段階でも、建設会社の事業を引き継ぎたいという企業は見つかります。建設業許可、技術者、施工実績、元請や協力会社との関係は、決算書の数字とは別に評価されるからです。シードアドバイザリーは建設業に特化したM&A支援機関として、赤字・債務超過の会社の譲渡とスポンサー探索をお受けしています。
このページの要点
- 赤字・債務超過でもM&Aは成立します。建設業では、許可・技術者・取引関係そのものに買い手がつきます。
- 会社ごと売れない場合でも、事業譲渡や第二会社方式で「事業だけ」を引き継ぐ方法があります。
- 選べる方法は、資金が尽きるまでの残り時間で決まります。早く相談するほど選択肢は広がります。
01 WHY赤字・債務超過の建設会社に、買い手がつく理由
一般に、赤字や債務超過の会社は売れないと思われがちです。しかし建設業の譲受側が求めているのは、決算書の利益だけではありません。
- 建設業許可と許可区分:新たに取得するには、経営業務の管理責任者等(旧:経営業務管理責任者)や営業所技術者(旧:専任技術者)の要件を満たす必要があり、時間がかかります。
- 技術者と職人:採用では埋まらない有資格者を、組織ごと迎えられます。
- 施工実績と取引口座:元請・発注者との関係や、公共工事の実績は一朝一夕には作れません。
- 協力会社とのネットワーク:地域で工事を回すための基盤です。
赤字の原因が、特定の工事の損失、過大な役員報酬、借入の返済負担など説明のつくものであれば、譲受側は「引き継いだ後に利益が出るか」で判断します。債務超過であっても、事業そのものに価値があれば、引き継ぐ形はつくれます。
02 STAGE状況別に見る、取り得る選択肢
同じ「赤字・債務超過」でも、資金繰りの余力によって進め方は大きく異なります。
| いまの状況 | 主な選択肢 |
|---|---|
| 赤字だが、純資産はプラス | 株式譲渡が中心です。赤字の理由を数字で説明できれば、評価はつきます。 |
| 帳簿上は債務超過だが、資金繰りは回っている | 株式譲渡(譲渡価額は低くなり得ますが、借入と保証を譲受側へ引き継ぐ交渉が軸)。数年かけて財務を整えてから譲渡する道もあります。 |
| 実質債務超過で、返済をリスケしている | 事業譲渡・会社分割、第二会社方式、スポンサー型の新会社設立。金融機関・弁護士と並走して進めます。 |
| 税金・社会保険料の滞納、差押えや資金ショートが目前 | 再生型の事業譲渡を最短日程で。事業と従業員を移し、旧会社は特別清算や破産などで整理します。 |
「実質債務超過」とは、資産を時価で評価し直したときに負債が上回っている状態です。回収できない売掛金や、価値の下がった不動産・在庫を反映すると、帳簿上は資産超過でも実質は債務超過ということがあります。
03 SCHEME赤字・債務超過の会社で使われる4つのスキーム
1. 株式譲渡
会社をそのまま譲受側に引き継ぎます。建設業許可や契約関係は会社に残るため、手続の負担が最も小さい方法です。一方で借入金も会社に残るため、譲受側が返済を引き受けられるかが焦点になり、社長の個人保証を譲受側へ切り替える交渉が必要です。
2. 事業譲渡
工事部門や人員、取引関係など、必要な事業だけを譲受側に移します。譲受側は引き継ぐ資産・負債を選べるため、債務超過の会社でも譲受側を見つけやすい方法です。旧会社に残った債務は譲渡代金で弁済し、残りは金融機関との協議や清算手続で整理します。
3. 会社分割
事業を新会社や譲受側の会社に切り出します。契約や従業員を包括的に移せる点が事業譲渡との違いです。債権者を害する分割と判断されないよう、対価の妥当性や債権者への説明を丁寧に設計する必要があります。
4. 第二会社方式・スポンサー型
収益の見込める事業を事業譲渡や会社分割で新しい会社(第二会社)に移し、過大な債務が残った旧会社は特別清算や破産で整理する方法です。スポンサーとなる企業が新会社に出資する、あるいは新会社を設立して事業を受け入れる形を取ります。中小企業活性化協議会などの公的な枠組みを使うこともあります。
いずれのスキームでも、適正な対価と手続を欠くと、後から詐害行為や否認の問題として争われるおそれがあります。当社は弁護士と連携し、清算した場合と比べて債権者にとっても有利であることを数字で示しながら進めます。
04 CONSTRUCTION建設業ならではの注意点
- 建設業許可の空白期間:事業譲渡や会社分割でも、建設業法第17条の2にもとづく事前の認可を受ければ許可を承継できます。認可には審査期間があるため、クロージング日から逆算した段取りが必要です。詳しくは建設業許可はM&Aで引き継げるのかで解説しています。
- 進行中の工事:発注者への説明、契約の引き継ぎ、未成工事支出金や前受金の扱いを整理します。工事を止めないことが、事業価値を守る前提です。
- 協力会社への未払い:支払いが滞ると現場が止まります。誰がどこまで引き継ぐかを、譲受側と早い段階で合意します。
- 経営事項審査:債務超過は経審の評点に影響し、公共工事の入札に響きます。事業を移した後の経審の扱いも含めて設計します。
- 公租公課の滞納:税金や社会保険料の滞納は、預金や売掛金の差押えにつながります。差押えを受けると資金繰りが一気に悪化するため、最も急ぐべき論点です。
05 GUARANTEE社長個人の保証と自宅
中小企業の借入では、社長が個人保証をしていることがほとんどです。会社を整理した後に保証債務だけが残ることを恐れて、相談が遅れるケースが少なくありません。
経営者保証ガイドラインに沿って、金融機関と保証債務の整理を協議できる場合があります。一定の生活費や、華美でない自宅を手元に残せる可能性もあります。ただし、早い段階で誠実に情報を開示していることが前提になります。具体例は会社をたたんでも、経営者の人生は続く|経営者保証ガイドラインをご覧ください。
06 TIMING相談を急ぐべきサイン
赤字・債務超過のM&Aは、時間との勝負です。資金が尽きる前であれば、株式譲渡や事業譲渡、スポンサー探索など複数の方法を比べて選べます。次のどれかに当てはまる場合は、すぐにご相談ください。
- 返済のリスケが2回目以降になった、新規融資を断られた
- 税金や社会保険料を分納している、督促が届いている
- 協力会社への支払いを遅らせている
- 経審の点数が下がり、入札に参加できなくなった
- 3か月先の資金繰りが見通せない
- 後継者がおらず、廃業も考え始めている
07 CASE事例
CASE 01|施工管理会社
差押え目前から、約2週間で事業を承継
事業譲渡(再生型)/期間 約2週間
債務超過に加え、公租公課の滞納で差押えが目前でした。施工管理チームを求める総合建設会社へ事業を譲渡し、旧会社は破産で整理。仕掛工事と協力会社への未払いは譲受側が引き継ぎ、従業員は全員が移りました。事例の詳細を読む
CASE 02|建設会社
2日でスポンサーを確保し、3週間で成立
スポンサー型・新会社設立/期間 3週間
法律事務所からのご相談でした。大手仲介会社から「譲受先はここしかない」と言われていましたが、社長の本意ではありませんでした。2日で別のスポンサーを見つけ、3週間で成立しています。
08 WHY USシードアドバイザリーにご相談いただく理由
- 建設業に特化:許可の承継、技術者の確保、進行中の工事の引き継ぎまで、建設業に固有の論点を前提に設計します。
- 再生案件の経験:シードグループでは、経営改善・再生計画の策定と実行支援を100社以上で手がけてきました。
- 税理士が社内に在籍:清算価値の算定、譲渡に伴う税負担、債務整理の税務をその場で検討できます。
- 弁護士・金融機関と並走:私的整理・法的整理を前提とした案件で、専門家と連携して進めます。
- 中小企業庁のM&A支援機関に登録:中小M&Aガイドライン(第3版)の遵守を宣言しています。
サービスの詳細はサービス内容をご覧ください。
RELATEDあわせて読みたい解説コラム
- 第二会社方式とは|債務超過の建設会社が、事業と雇用を残すための仕組み
- 債務超過の会社を株式譲渡するとき、社長の個人保証はどうなるか
- 税金・社会保険料の滞納があっても、事業譲渡はできるか
- 建設業許可はM&Aで引き継げるのか
09 FAQ赤字・債務超過のM&Aでよくあるご質問
債務超過の会社でも、本当に買い手は見つかりますか?
見つかる場合があります。建設業では、建設業許可・技術者・施工実績・元請や協力会社との関係に価値があり、人手不足を背景に譲受を検討する企業が多くあります。会社ごと引き継ぐことが難しい場合でも、事業譲渡や第二会社方式で事業だけを引き継ぐ形が取れます。
借入金は誰が返すことになりますか?
スキームによって変わります。株式譲渡では借入金は会社に残り、譲受側の経営のもとで返済が続きます。事業譲渡や第二会社方式では引き継ぐ資産・負債を選び、旧会社に残った債務は譲渡代金で弁済したうえで、金融機関との調整や特別清算・破産などの手続で整理します。
社長の個人保証や自宅はどうなりますか?
経営者保証ガイドラインに沿って、保証債務の整理を金融機関と協議できる場合があります。一定の生活費や、華美でない自宅を手元に残せる可能性もあります。弁護士と連携し、早い段階から進めることが重要です。
建設業許可は引き継げますか?
株式譲渡であれば、許可は会社に残ったまま経営者だけが替わります。事業譲渡や会社分割でも、建設業法第17条の2にもとづく事前の認可を受ければ、許可を承継できます。認可には要件と審査期間があるため、空白期間を作らない日程の逆算が欠かせません。
税金や社会保険料を滞納していても相談できますか?
ご相談いただけます。滞納が続くと預金や売掛金の差押えに進むおそれがあるため、むしろ急ぐべき状況です。当社には、差押え目前の段階から約2週間で事業譲渡を完了した事例があります。
金融機関や従業員に知られずに相談できますか?
できます。社名を伏せたままご相談いただけます。譲受候補への打診はノンネームシートで匿名のまま行い、打診先は事前にご承認いただいた企業に限ります。金融機関や従業員にいつ、どう伝えるかも、あわせて設計します。
相談に費用はかかりますか?
初回のご相談、企業価値の簡易算定、譲渡と清算の比較までは無料です。費用が発生するのは契約を締結いただいてからで、契約前に手数料の算定基準・金額・支払時期を書面でご説明します。
建設業以外の会社でも対応していますか?
スポンサー型の再生案件は、業種を限定せずお受けしています。運送業など許認可が関わる業種も、専門家と連携して進めます。
※本ページは一般的な考え方をまとめたものです。個別の案件で取り得る方法は、財務・債権者の状況や許可の内容によって異なります。法的手続の判断は弁護士と連携して行います。