解体工事会社のM&Aでは、建設業許可だけでなく、廃棄物の運搬・処分にかかわる許可と、石綿(アスベスト)への対応体制が評価を大きく左右します。
老朽化した建物の建て替えや空き家の増加を背景に、解体工事の需要は続いています。一方で、許可や登録、廃棄物の扱い、石綿の事前調査と、守るべきルールは年々増えています。譲受側は、こうした法令対応を整えたうえで現場を回せる体制を求めて解体工事会社を探しています。
本稿の要点
1. 解体工事業の許可(または解体工事業の登録)、産業廃棄物収集運搬業などの許可、技術者、重機が評価の中心になる
2. 廃棄物関係の許可は、M&Aの手法によって引き継げないことがある。手法を決める前に確認が必要
3. 石綿の事前調査と廃棄物の処理が適正に行われてきたかが、譲受側の最大の関心事になる
解体工事会社で評価されるもの
| 要素 | 見られる点 |
|---|---|
| 許可・登録 | 建設業の解体工事業の許可か、建設リサイクル法に基づく解体工事業の登録か。産業廃棄物収集運搬業の許可の有無と対象の自治体 |
| 技術者・資格者 | 解体工事の技術者の人数と年齢。石綿の事前調査ができる資格者や、石綿作業主任者が社内にいるか |
| 重機・車両 | 解体用の重機、運搬車両の保有状況と状態。リースや割賦の残債の有無 |
| 処理の流れ | 処分場との取引関係、マニフェストの管理状況、処分費用の見積りと実績の差 |
廃棄物関係の許可は、手法によって扱いが変わる
株式譲渡であれば会社がそのまま存続するため、建設業許可も、産業廃棄物収集運搬業の許可も会社に残ります。役員の変更などは届出が必要ですが、許可自体を取り直す必要はありません。
事業譲渡では、建設業許可は事前の認可で承継できる一方、産業廃棄物収集運搬業の許可は原則として引き継げず、譲受側で新たに取得する必要があります。取得までの間は自社で廃棄物を運べないため、外部への委託を含めた段取りが必要です。会社分割や合併の場合の扱いも含め、手法を決める前に所管の自治体へ確認しておくことが欠かせません。
解体工事会社のM&Aで確認すべき点
- 石綿の事前調査の体制。解体・改修の前には、資格者による石綿の事前調査と、一定規模以上の工事での結果の報告が義務付けられています。これまでの調査と記録がそろっているかを確認します。
- 廃棄物の処理の適正さ。不適正な処理が過去にあれば、譲受後に責任を問われるおそれがあります。マニフェストの保存状況と、処分場との取引の実態を確認します。
- 処分費用と採算。処分費用は地域や品目によって変動し、見積りとのずれが利益を圧迫します。工事ごとの採算の実績を確認します。
- 重機の時価と残債。帳簿上は償却済みでも中古市場で値が付く重機がある一方、残債が残っていることもあります。所有権の所在も含めて確認します。
- オペレーターと現場の人員。重機を扱える人と、現場を任せられる人が譲渡後も残るかが、事業を続けられるかの前提になります。
どんな企業が譲受を検討するか
解体から新築までを一貫して請け負いたい住宅会社や総合建設会社、廃棄物の処理と組み合わせて事業を広げたい産業廃棄物処理業者、施工エリアを広げたい同業の解体会社などが主な譲受候補です。法令対応が整っていること自体が評価の材料になるため、資料の整理が価額に直結します。
建設業のM&A全体の流れは建設業のM&Aの全体像に、許可の承継は建設業許可はM&Aで引き継げるのかにまとめています。
当社は建設業に特化したM&A支援機関として、解体工事会社の譲渡・譲受をお手伝いしています。許可と廃棄物の処理を途切れさせない手順まで含めて設計します。
ご相談と企業価値の簡易算定は無料です。ご相談内容は秘密厳守です。お問い合わせフォームまたはお電話(03-3528-8810)からご連絡ください。
本稿は一般的な内容です。廃棄物関係の許可や石綿の事前調査の取扱いは自治体・所管官庁により確認が必要なため、個別の案件では所管の窓口と専門家にご確認ください(本稿は2026年10月時点の情報に基づいています)。