塗装工事会社のM&Aでは、誰から仕事を受けているかによって、評価の根拠がまったく変わります。
同じ塗装工事業でも、ハウスメーカーやリフォーム会社の下請として住宅の外壁を塗る会社、個人のお客様から直接受注する会社、橋梁や鉄骨などの公共工事を手がける会社では、譲受側が見る点が異なります。譲受側は、腕の確かな職人と、安定して仕事が入る受注の仕組みの両方を求めて塗装工事会社を探しています。
本稿の要点
1. 塗装工事業の許可、資格を持つ職人、受注の仕組み、施工後の保証が評価の中心になる
2. 住宅の下請・個人向けの直接受注・公共工事のどれが中心かで、評価の根拠と譲受候補が変わる
3. 施工後の保証を譲渡後に誰が引き受けるかを、契約の前に決めておく
塗装工事会社で評価されるもの
| 要素 | 見られる点 |
|---|---|
| 許可 | 塗装工事業の許可が一般か特定か。あわせて防水工事業や建築一式工事業などを持っているか |
| 職人・技術者 | 塗装技能士や施工管理技士などの資格者の人数と年齢。自社の職人と外注の比率 |
| 受注構造 | 元請からの下請か、個人のお客様からの直接受注か、公共工事か。売上の偏りと、継続して受注できる仕組みがあるか |
| 保証と実績 | 施工後の保証の内容と件数。これまでの施工実績と、クレームの履歴 |
受注の形によって、評価の根拠が変わる
ハウスメーカーやリフォーム会社の下請が中心の会社では、元請との関係が譲渡後も続くかが価額に直結します。特定の元請への依存度が高い場合は、その元請の意向を早い段階で確かめる必要があります。
個人のお客様から直接受注する会社では、集客の仕組みと顧客の名簿、口コミや紹介の流れが価値の中心です。あわせて、契約書や広告の表示が適正かも確認されます。橋梁や鉄骨などの公共工事が中心の会社では、経営事項審査の評点と入札参加資格、専門の技術者が評価の中心になります。
塗装工事会社のM&Aで確認すべき点
- 職人が残るか。仕上がりの品質は職人の腕で決まります。社長との信頼でつながっている職人や外注先が、譲渡後も仕事を続けてくれるかを確認します。
- 施工後の保証の引き継ぎ。外壁や屋根の塗装では、施工後に数年単位の保証を付けていることが多くあります。譲渡後に不具合が出たとき、誰が対応し、費用を誰が負担するかを契約で定めておきます。
- 安全と衛生の管理。高所作業と塗料を扱う業種のため、足場の安全管理、有機溶剤の取扱いの体制、過去の労災の有無が見られます。
- 繁忙期と閑散期の差。天候と季節に左右されやすい業種です。月ごとの売上と人員の配置を見て、収益が安定しているかを確認します。
どんな企業が譲受を検討するか
自社施工の比率を上げたいハウスメーカーやリフォーム会社、外装の工事を一貫して請け負いたい防水・屋根工事会社、施工エリアを広げたい同業の塗装会社などが主な譲受候補です。どの受注の形が譲受側の不足を埋めるかによって、打診すべき相手が変わります。
建設業のM&A全体の流れは建設業のM&Aの全体像に、許可の承継は建設業許可はM&Aで引き継げるのかにまとめています。
当社は建設業に特化したM&A支援機関として、塗装工事会社の譲渡・譲受をお手伝いしています。職人と取引先、施工後の保証まで途切れさせない引き継ぎ方を一緒に設計します。
ご相談と企業価値の簡易算定は無料です。ご相談内容は秘密厳守です。お問い合わせフォームまたはお電話(03-3528-8810)からご連絡ください。
本稿は一般的な内容です。許可や届出の取扱いは許可行政庁により確認が必要なため、個別の案件では所管の窓口と専門家にご確認ください(本稿は2026年10月時点の情報に基づいています)。