建設業のM&Aを任せる相手は、手数料の安さや知名度だけでは選べません。建設業に固有の論点を理解しているか、契約の中身が公正かで、結果が大きく変わるからです。
M&Aの支援会社は年々増え、建設会社の経営者のもとにも、多くの案内が届くようになりました。どこに相談すればよいか分からないという声もよくお聞きします。本稿では、契約を結ぶ前に確かめておくべき点を整理します。
本稿の要点
1. 仲介とFAでは、依頼者に対する立場が根本的に違う。どちらで契約するかを最初に確認する
2. 専任条項・テール条項・手数料の算定方法は、契約前に書面で説明を受ける
3. 建設業許可や技術者の承継を理解しているかで、成約後に事業が続くかが決まる
仲介とFAは、立場が違う
仲介は、譲渡側と譲受側の双方と契約し、両者の間に立って成約を目指します。FA(ファイナンシャルアドバイザー)は、どちらか一方とだけ契約し、その依頼者の利益のために動きます。
| 形態 | 特徴 |
|---|---|
| 仲介 | 双方から手数料を受け取る。情報が集まりやすく、まとまるまでが早い一方、利益相反のおそれがあるため、その説明と対策が求められる |
| FA | 一方の利益のために交渉する。条件面での主張がしやすい一方、相手方にも別のFAが付くことが多い |
どちらが優れているということではなく、案件の性格と、ご自身が何を優先するかで選ぶものです。大切なのは、契約前にどちらの形かを書面で確認することです。
契約前に確認すべき7つの点
- 中小企業庁のM&A支援機関に登録しているか。登録機関は中小M&Aガイドラインの遵守を宣言しています。登録の有無は公開されているデータベースで確かめられます。
- 手数料の算定基準。着手金・中間報酬・成功報酬の有無と金額、成功報酬の計算の基準(譲渡価額か、移動する総資産か)、最低報酬額を確認します。
- 専任条項の期間と範囲。他の支援会社に依頼できない期間がどれだけか、自分で見つけた相手との取引まで制限されるかを確認します。
- テール条項の期間。契約終了後も、その支援会社が紹介した相手と成約すれば手数料が発生する期間です。長すぎないかを確認します。
- 建設業許可と技術者への理解。経営業務の管理責任者等や営業所技術者が抜けたときの影響、手法による許可の承継の違いを、具体的に説明できるかを確かめます。
- 譲受候補の探し方。どのような企業に、どの順番で、どのような資料で打診するか。打診先を事前に承認できるかを確認します。
- 担当者と体制。実際に担当するのは誰か。税務や法務の論点を誰が見るのか。成約後の引き継ぎまで関与するのかを確認します。
建設業ならではの見極めどころ
建設業のM&Aでは、決算書の数字だけで価値は決まりません。許可の区分、技術者の年齢構成、元請や協力会社との関係、進行中の工事。これらを理解していない相手に任せると、譲渡価額は決まっても、引き継いだ後に受注が続かないということが起こります。
初回の面談で、自社の許可の区分や技術者の状況を伝え、どのような論点があるかを尋ねてみてください。答え方を聞けば、建設業をどれだけ扱ってきたかが分かります。
手数料の仕組みはM&Aの手数料の仕組みに、建設業のM&A全体の流れは建設業のM&Aの全体像にまとめています。
当社は中小企業庁のM&A支援機関に登録し、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言しています。仲介とFAのどちらで契約するか、手数料、専任条項、テール条項は、契約の前に必ず書面でご説明します。
他社とすでに契約している案件のセカンドオピニオンもお受けしています。ご相談は無料で、ご相談内容は秘密厳守です。お問い合わせフォームまたはお電話(03-3528-8810)からご連絡ください。
本稿は一般的な内容です。契約条件は案件ごとに異なるため、個別の契約については専門家にご確認ください(本稿は2026年10月時点の情報に基づいています)。